前回作成した Azure CAF エージェントチームを、GitHub Copilot カスタムエージェントの「正しいフォーマット」という観点で見直してみます。Copilot エキスパートエージェントを新たに作成し、エージェントが暴走しないためのガードレール設計も解説します。
はじめに
前回の記事では、Azure CAF(Cloud Adoption Framework)の組織論に基づいた 7 つのカスタムエージェントを GitHub Copilot CLI で作成しました。作成後、人事評価エージェントによって各エージェントを評価したのですが、ここで気づいてしまいました。
「そもそも GitHub Copilot カスタムエージェントとして正しいフォーマットで書けているか」を評価してへんかった!
人事評価エージェントの評価観点は「CAF 準拠度」「役割の明確さ」「実用性」「他エージェントとの連携」「セキュリティ考慮」の 5 項目でした。これらはビジネス要件としては適切ですが、エージェントが期待通りに動作するための技術的フォーマットの評価が抜けていました。
また、著者自身が GitHub Copilot の最新機能をキャッチアップできていないため、エージェントが暴走しないためのガードレール設計についても改めて整理したいというモチベーションもありました。
今回のエージェントは https://github.com/NakayamaKento/caf-agents においてます。
この記事のゴール
- GitHub Copilot カスタムエージェントの正しいフォーマットとベストプラクティスを整理する
- Agent Skills(
SKILL.md)を活用した CAF エージェント強化を学ぶ - Custom Instructions・Prompt Files・コンテキスト管理 など実行時 Tips を押さえる
- エージェントの暴走を防ぐガードレール設計のパターンを理解する
- Copilot エキスパートエージェントを作成し、既存の CAF エージェントを技術的観点で評価する
- 人事評価エージェントと連携した改善サイクルを実施する
想定読者
- 前回の記事を読んだ方(または GitHub Copilot CLI でカスタムエージェントを使ったことがある方)
- カスタムエージェントの品質を向上させたい方
- AI エージェントの「暴走防止」設計に関心がある方
背景
人事評価エージェントの評価基準の盲点
前回作成した人事評価エージェント(hr-evaluation.agent.md)は、以下の 5 観点でエージェントを評価していました。
| 観点 | 説明 |
|---|---|
| CAF 準拠度 | Azure CAF の原則に沿った設計かどうか |
| 役割の明確さ | エージェントの責任範囲が明確かどうか |
| 実用性 | 実際の業務で使えるかどうか |
| 他エージェントとの連携 | エージェント間の協調設計が適切かどうか |
| セキュリティ考慮 | セキュリティリスクへの対応があるかどうか |
これらはいずれも重要な評価観点ですが、GitHub Copilot のカスタマイズファイル(.agent.md・SKILL.md・copilot-instructions.md・.prompt.md 等)が正しいフォーマットで書かれているかという技術的な観点が完全に欠けていました。たとえば:
mcp-serversフィールドをオブジェクト形式で書くべきところを配列形式で書いていないかdescriptionがエージェント推論のトリガーとして機能する書き方になっているか- 不要な
executeツールを付与していないか(最小権限の原則) - バウンダリ(禁止事項)が明記されているか
SKILL.mdのname・descriptionが正しいフォーマットで書かれているかcopilot-instructions.mdのルールがエージェントの指示と矛盾していないか
これらの問題は、エージェントが「動かない」「期待しない動作をする」「セキュリティリスクになる」原因になります。
エージェントが暴走するとはどういうことか
具体的には、以下のような状況を指します:
- 意図しないファイル変更:
editツールを持つエージェントが、レビューを求めたつもりが直接ファイルを書き換えてしまう - 本番環境への誤操作:
executeツールを持つエージェントが、確認なしにインフラ変更コマンドを実行する - 機密情報の漏洩: エージェントが
.envファイルや Secret の内容をログに出力してしまう - 無限ループ: エージェント同士が互いを呼び出し続けてしまう
- スコープ外の操作: 「ファイルをレビューして」と頼んだのに無関係なファイルまで変更してしまう
これらを防ぐための設計がガードレールです。
ざっくり手順
- GitHub Copilot カスタムエージェントのフォーマットとベストプラクティスを理解する
- Agent Skills(
SKILL.md)を理解し、CAF エージェント向けのスキルを作成する - Custom Instructions・Prompt Files・コンテキスト管理の Tips を押さえる
- エージェント暴走防止のガードレール設計を整理する
- Copilot エキスパートエージェント(
copilot-expert.agent.md)を作成する - 既存の CAF エージェントを評価する
- 人事評価エージェントとの連携で改善サイクルを実行する
カスタムエージェントのフォーマットとベストプラクティス
.agent.md ファイルの正しい構造
GitHub Copilot CLI のカスタムエージェントは .agent.md という拡張子のファイルで定義します。.github/agents/ ディレクトリに配置することが推奨されています。
ファイルは大きく 2 つの部分で構成されています:
[YAML フロントマター]
---
name: エージェント名
description: "説明"
tools:
- read
- search
---
[Markdown 本文]
# エージェントのペルソナと指示
YAML フロントマターの全フィールド解説
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よくある間違い: mcp-servers を配列形式で書いてしまうケースがあります。
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6 つの重要なベストプラクティス
1. description は「いつ使うか」を明示する
description フィールドは単なる説明文ではなく、エージェント推論のトリガーになります。GitHub Copilot がどのエージェントを起動すべきかを判断する際に参照されます。
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2. tools は最小権限の原則を適用する
エージェントに必要以上のツールを付与することは、セキュリティリスクと誤操作の原因になります。
| ツール | 付与すべき状況 |
|---|---|
read |
ファイルを読む必要がある場合(ほぼ常に必要) |
search |
コードベース内を検索する場合 |
edit |
ファイルを変更するエージェントのみ |
execute |
シェルコマンドの実行が必須の場合のみ(最後の手段) |
agent |
他のエージェントと連携する場合のみ |
web |
公式ドキュメントや外部情報が必要な場合のみ |
3. バウンダリを明示する
「〜してはいけない」という禁止事項を具体的に書くことが、最も効果的な暴走防止策です。
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4. 具体例(入出力例)を含める
抽象的な指示より、1 つの具体的な入出力例が動作の安定性を大幅に向上させます。
5. mcp-servers はオブジェクト形式
前述の通り、配列形式は誤りです。必ずオブジェクト形式(キーと値のペア)で記述してください。
6. ファイル名は lowercase + hyphens
my-agent.agent.md の形式を推奨します。大文字やアンダースコアは避けてください。
Agent Skills の活用
Agent Skills とは
Agent Skills(エージェントスキル)は .agent.md とは別の仕組みで、GitHub Copilot に再利用可能な手順・知識・スクリプトを教えるための機能です。
- カスタムエージェント(
.agent.md): 特定の役割・ペルソナを持つ専門家エージェント。/agent <名前>で明示的に呼び出す - Agent Skills(
SKILL.md): 繰り返し使う手順や専門知識のカプセル化。Copilot が文脈から自動的に判断して読み込む
この 2 つを組み合わせることで、「役割(エージェント)× 手順知識(スキル)」という形で Copilot の能力を最大化できます。
graph LR
subgraph "Agent Skills (.github/skills/)"
S1["📘 caf-governance-review<br/>SKILL.md"]
S2["📘 azure-policy-lint<br/>SKILL.md"]
S3["📘 iac-security-check<br/>SKILL.md"]
end
subgraph "Custom Agents (.github/agents/)"
A1["🤖 cloud-governance<br/>.agent.md"]
A2["🤖 cloud-security<br/>.agent.md"]
A3["🤖 copilot-expert<br/>.agent.md"]
end
S1 -->|自動読み込み| A1
S2 -->|自動読み込み| A1
S3 -->|自動読み込み| A2
S1 -->|評価対象| A3
classDef skill fill:#f9f0ff,stroke:#6f42c1,color:#333;
classDef agent fill:#e6f3ff,stroke:#0078d4,color:#333;
class S1,S2,S3 skill;
class A1,A2,A3 agent;
SKILL.md のファイル構造
スキルは .github/skills/<スキル名>/SKILL.md というパスに配置します。各スキルは専用のサブディレクトリを持ちます。
.github/
├── agents/
│ ├── cloud-governance.agent.md
│ └── copilot-expert.agent.md
└── skills/
├── caf-governance-review/
│ └── SKILL.md
└── azure-policy-lint/
├── SKILL.md
└── lint-policy.sh ← スクリプトも同梱できる
SKILL.md ファイルの構造は以下の通りです:
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CLI でのスキル管理コマンド
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CAF エージェント向けスキルの設計例
今回の CAF エージェントチームに対して、以下のスキルを作成してみます。
| スキル名 | ディレクトリ | 対応するエージェント | 用途 |
|---|---|---|---|
caf-governance-review |
.github/skills/caf-governance-review/ |
cloud-governance | IaC の CAF ガバナンス準拠チェック |
azure-policy-lint |
.github/skills/azure-policy-lint/ |
cloud-governance | Azure Policy JSON の構文・セマンティクス検証 |
iac-security-check |
.github/skills/iac-security-check/ |
cloud-security | IaC のセキュリティベースライン確認 |
landing-zone-template |
.github/skills/landing-zone-template/ |
cloud-platform | Landing Zone の Bicep/Terraform テンプレート生成 |
description に適切なキーワードを含めることが重要です。Copilot CLI でスキルを作成する
スキルの作成も Copilot CLI に任せることができます。
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その他の Copilot カスタマイズ機能
.agent.md と SKILL.md に加えて、GitHub Copilot にはエージェントの動作品質を底上げするカスタマイズ機能がさらに 3 つあります。改善サイクルの網羅性を高めるために、これらも押さえておきましょう。
graph TB
subgraph "GitHub Copilot カスタマイズの全体像"
CI["📋 Custom Instructions<br/>copilot-instructions.md<br/>(リポジトリ全体のベースライン)"]
PI["📂 Path-specific Instructions<br/>.instructions.md<br/>(ファイルパスごとのルール)"]
PF["📝 Prompt Files<br/>.prompt.md<br/>(再利用可能なプロンプト)"]
AG["🤖 Custom Agents<br/>.agent.md<br/>(専門家ペルソナ)"]
SK["📘 Agent Skills<br/>SKILL.md<br/>(手順知識カプセル)"]
end
CI -->|全エージェントに適用| AG
PI -->|パス一致時に適用| AG
SK -->|文脈で自動読み込み| AG
PF -->|手動で呼び出し| AG
classDef base fill:#e8f5e9,stroke:#43a047,color:#333;
classDef agent fill:#e6f3ff,stroke:#0078d4,color:#333;
classDef skill fill:#f9f0ff,stroke:#6f42c1,color:#333;
classDef prompt fill:#fff3e0,stroke:#ef6c00,color:#333;
class CI,PI base;
class AG agent;
class SK skill;
class PF prompt;
Custom Instructions(カスタムインストラクション)
Custom Instructions は、リポジトリ内のすべての Copilot インタラクション(エージェント含む)に適用されるベースラインルールです。
リポジトリ全体のベースライン: copilot-instructions.md
.github/copilot-instructions.md に配置すると、すべてのエージェントが自動的にこの指示を継承します。
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copilot-instructions.md はエージェントの「共通設定」のようなものです。個別の .agent.md に重複して書く必要がなくなり、全エージェントの品質ベースラインを統一できます。パス固有のインストラクション: .instructions.md
.github/instructions/*.instructions.md に配置し、YAML フロントマターの applyTo で対象パスを指定します。
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Prompt Files(プロンプトファイル)
Prompt Files は、繰り返し使うプロンプトをテンプレート化して .github/prompts/*.prompt.md に保存する機能です。
改善サイクルのプロンプトをファイル化することで、チーム全員が同じ品質基準でエージェントを評価・改善できます。
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プロンプトファイルは CLI で以下のように利用します:
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/savePrompt コマンドも利用できます。コンテキスト管理の Tips
エージェント実行時にはコンテキストウィンドウ(トークン上限)の管理が重要です。大量のファイルを評価する改善サイクルでは特に意識が必要です。
| コマンド / 参照 | 機能 | 使いどころ |
|---|---|---|
/compact |
会話履歴を要約・圧縮 | セッションが長くなったとき |
/context |
現在のトークン使用状況を表示 | 大量ファイルの処理前 |
@<ファイルパス> |
特定ファイルをコンテキストに追加 | 個別エージェントの詳細評価 |
#codebase |
リポジトリ全体をコンテキストに含む | 横断的な分析・リファクタリング |
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エージェント暴走防止のガードレール設計
このセクションでは暴走防止のガードレール設計をより詳しく解説します。
graph TB
subgraph "リスクレベルと対策"
L1["🟢 Low Risk<br/>read + search のみ<br/>分析・評価エージェント"]
L2["🟡 Medium Risk<br/>edit を含む<br/>コード生成・改善エージェント"]
L3["🔴 High Risk<br/>execute を含む<br/>インフラ変更エージェント"]
end
subgraph "ガードレール層"
G1["ツール最小権限<br/>不要なツールを除外"]
G2["明示的な禁止事項<br/>DON'T リストを本文に記載"]
G3["提案のみモード<br/>実行は人間が判断"]
G4["スコープ制限<br/>対象ディレクトリを限定"]
G5["/plan モード推奨<br/>実行前に計画を確認"]
end
L1 --> G1
L2 --> G1
L2 --> G2
L2 --> G3
L3 --> G1
L3 --> G2
L3 --> G4
L3 --> G5
ガードレール設計の 4 つの層
第 1 層: ツールの最小権限
最も基本的なガードレールです。execute ツールは付与しないだけで、シェルコマンドの誤実行を完全に防げます。
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第 2 層: 本文への明示的な禁止事項
YAML フロントマターのツール制御だけでは不十分です。本文にも明確な制約を書きます。
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第 3 層: 提案のみモードの宣言
エージェントに「自分は提案するだけで、実行は人間が決める」という役割を明確に意識させます。
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第 4 層: /plan モードの活用推奨
GitHub Copilot CLI の /plan モードを使うと、エージェントが実際に行動する前に計画を提示します。エージェントの本文に利用を促す記述を加えることで、予期しない操作を防げます。
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どのエージェントにどのガードレールを適用するか
| エージェントの種類 | 最小権限 | 禁止事項明記 | 提案のみモード | /plan 推奨 |
|---|---|---|---|---|
| 分析・評価系(今回の copilot-expert) | ✅ | ✅ | ✅ | — |
| コード生成・改善系 | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ |
| インフラ変更系 | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ |
| 読み取り専用レポート系 | ✅ | — | — | — |
Copilot エキスパートエージェントの作成
ここまでのベストプラクティスを踏まえて、.github/agents/copilot-expert.agent.md を作成します。このエージェントは .agent.md だけでなく、SKILL.md・copilot-instructions.md・.instructions.md・.prompt.md など GitHub Copilot のすべてのカスタマイズファイルを横断的にレビューできる設計にします。
Copilot CLI でエージェントを作成する
前述のベストプラクティスをすべて盛り込んだエージェントを、Copilot CLI に作成させます。以下のプロンプトを使用してください:
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エージェント設計のポイント解説
このエージェント自体がベストプラクティスの体現になっています。設計上のポイントを解説します。
graph LR
subgraph "YAML フロントマター"
T1["tools: read + search のみ<br/>(第 1 層ガードレール)"]
T2["description にキーワードを含む<br/>(エージェント推論のトリガー)"]
end
subgraph "Markdown 本文"
B1["⚠️ 重要な制約セクション<br/>(第 2 層ガードレール)"]
B2["評価観点の明確な定義<br/>(役割の明確化)"]
B3["評価出力フォーマット<br/>(出力の安定化)"]
B4["具体的な入出力例<br/>(ベストプラクティス準拠)"]
end
T1 --> B1
T2 --> B2
B1 --> B2
B2 --> B3
B3 --> B4
| 設計ポイント | 実装箇所 | 効果 |
|---|---|---|
tools: [read, search] のみ |
YAML フロントマター | ファイル変更・コマンド実行を物理的に防止 |
| キーワード付き description | YAML フロントマター | 「agent review」「skill review」「instructions review」でトリガー |
| ⚠️ 重要な制約セクション | 本文冒頭 | 読み手(エージェント)への明確な制約宣言 |
| レビュー対象の明示 | 本文序盤 | 5 種類のファイルすべてが対象であることを明確化 |
| ファイル別チェックリスト | 本文中盤 | 各ファイルタイプ固有の必須要件を網羅 |
| 評価出力フォーマットの定義 | 本文中盤 | 一貫した出力形式を保証 |
| 入出力例の提示 | 本文末尾 | 動作の安定性と再現性の向上 |
.agent.md のレビューだけでなく、SKILL.md のフォーマット(name・description の必須フィールド、チェックリストの有無)や copilot-instructions.md のルール整合性、.prompt.md の再利用可能性まで横断的にチェックします。GitHub Copilot のカスタマイズファイルはどれも正しいフォーマットでないと期待通りに動作しないため、すべてのファイルを対象にすることが重要です。評価の実施
方法 1: 対話モードで全体評価
Copilot CLI の対話モードで Copilot エキスパートエージェントを起動して、すべての Copilot カスタマイズファイルを横断的に評価します。
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方法 2: 特定のファイルタイプを詳細評価
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評価結果の例(想定)
前回作成した CAF エージェントチームに対して、Copilot エキスパートエージェントが全 Copilot カスタマイズファイルを横断的に評価した場合の想定結果です。
エージェント定義(.agent.md)の評価
| エージェント | フォーマット | description | 最小権限 | バウンダリ | 具体例 | Skills | Instructions | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| cloud-strategy | 5 | 4 | 5 | 3 | 4 | 2 | 1 | 24/35 |
| cloud-governance | 4 | 4 | 3 | 3 | 5 | 2 | 1 | 22/35 |
| cloud-platform | 4 | 4 | 4 | 3 | 5 | 2 | 1 | 23/35 |
| cloud-operations | 4 | 4 | 3 | 3 | 5 | 2 | 1 | 22/35 |
| cloud-security | 4 | 4 | 3 | 3 | 5 | 2 | 1 | 22/35 |
| ccoe | 4 | 3 | 3 | 3 | 5 | 2 | 1 | 21/35 |
| copilot-expert | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 2 | 1 | 28/35 ⭐ |
| hr-evaluation | 4 | 3 | 2 | 3 | 4 | 2 | 1 | 19/35 |
Skills・Instructions・Prompt Files の評価
copilot-expert は .agent.md 以外のファイルも個別にチェックします。
| ファイル | 種別 | 主な指摘事項 |
|---|---|---|
caf-governance-review/SKILL.md |
Skills | ✅ name・description あり。チェックリスト形式で再利用可能 |
azure-policy-lint/SKILL.md |
Skills | ⚠️ description にトリガーキーワードが不足 |
iac-security-check/SKILL.md |
Skills | ❌ name フィールドが未定義(YAML フロントマター欠落) |
copilot-instructions.md |
Instructions | ⚠️ エージェント固有ルールとの矛盾あり(タグ命名規則) |
.instructions.md(Bicep 向け) |
Instructions | ❌ applyTo glob パターンが未指定 |
agent-review.prompt.md |
Prompt | ✅ 構造化されたプロンプト。再利用可能 |
SKILL.md の YAML フロントマターが欠落していたり、copilot-instructions.md のルールがエージェントと矛盾していると、Copilot は期待通りに動作しません。copilot-expert がすべてのファイルタイプを横断的にチェックすることで、こうした問題を早期に発見できます。人事評価エージェントとの連携による改善
Copilot エキスパートエージェントによる技術的評価と、前回の人事評価エージェントによるビジネス観点の評価を組み合わせた改善サイクルを実施します。
2 つのエージェントの位置付け
sequenceDiagram
participant U as 👤 ユーザー
participant CE as 🔍 copilot-expert
participant HR as 👔 hr-evaluation
participant Files as 📁 Copilot カスタマイズファイル群
U->>CE: Copilot カスタマイズファイル全体をレビューして
CE->>Files: .agent.md / SKILL.md / copilot-instructions.md /<br/>.instructions.md / .prompt.md を読み込み
Files-->>CE: ファイル内容
CE-->>U: 技術的評価レポート(スコア + ファイル別指摘 + 改善提案)
U->>HR: エージェント定義をビジネス観点で評価して
HR->>Files: .agent.md ファイルを読み込み
Files-->>HR: ファイル内容
HR-->>U: ビジネス評価レポート(スコア + 改善提案)
U->>U: 2 つの評価結果を統合して改善方針を決定
Note over U,Files: /delegate で自動改善サイクルへ
/delegate を使った自動改善サイクル
/delegate コマンドを使うことで、評価→改善提案→PR 作成をバックグラウンドで自動実行できます。
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改善前後の比較ポイント
/delegate によって生成された改善後のエージェントでは、以下の点が改善されます。
1. description の改善(トリガーキーワードの追加)
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2. tools の最小権限化
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3. バウンダリ(DO/DON’T)セクションの追加
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4. 具体例セクションの追加
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copilot-instructions.md によるベースライン統一と Prompt Files によるワークフローの再利用性向上が全体の底上げに寄与しています。まとめ
得られた知見
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フォーマットの正確さは動作安定性に直結する:
mcp-serversのオブジェクト形式やdescriptionのキーワード設計など、細かいフォーマットの差が動作の安定性に大きく影響します。これは.agent.mdだけでなくSKILL.mdや.instructions.mdにも同様に当てはまります。 -
レビューは
.agent.mdだけでは不十分:SKILL.mdの YAML フロントマターの欠落や、copilot-instructions.mdとエージェントのルール矛盾など、カスタマイズファイル全体を横断的にチェックしないと見落としが生まれます。copilot-expert をすべてのファイルタイプに対応させたことで、この問題を解決しました。 -
Agent Skills はエージェントの「手順知識」を分離できる:
.agent.mdにすべての手順を詰め込むのではなく、再利用可能な手順はSKILL.mdに分離することで、エージェントのコンテキストウィンドウを節約しつつ専門知識を提供できます。 -
Custom Instructions でベースラインを統一する:
copilot-instructions.mdを使うと、命名規則やセキュリティルールなどの共通ルールを全エージェントに一括適用でき、各.agent.mdへの重複記述を排除できます。 -
Prompt Files で改善サイクルを再現可能にする: 評価プロンプトを
.prompt.mdとしてテンプレート化することで、誰が実行しても同じ品質基準で評価・改善できるワークフローが構築できます。 -
/compactと/contextでコンテキスト管理を意識する: 複数エージェントを横断的に評価する長いセッションでは、トークン上限を意識したコンテキスト管理が安定動作の鍵になります。 -
ガードレール設計は「ツール制限 + 明示的禁止事項」の 2 層が効果的: YAML フロントマターでのツール最小化だけでは不十分で、本文への禁止事項の明記を組み合わせることで初めて実効性のあるガードレールになります。
-
評価エージェント自体がベストプラクティスの体現になる: Copilot エキスパートエージェントを「自分自身がベストプラクティスに準拠した設計」で作ることで、評価の説得力が増し、実際の改善例としても機能します。
-
2 つの評価軸(技術的・ビジネス的)を組み合わせるとより効果的: Copilot エキスパートエージェント(技術的フォーマット)と人事評価エージェント(ビジネス要件)の両方で評価することで、エージェントの品質を多角的に担保できます。
-
/delegateは改善サイクルの自動化に強力: 評価→改善提案→PR 作成の一連のサイクルを無人実行できるため、定期的なエージェント品質管理にも活用できます。
注意点
- 改善提案はあくまでも提案: Copilot エキスパートエージェントや
/delegateが生成した改善案は、必ず人間がレビューしてから適用してください。特に既存エージェントの役割・専門性に関わる変更は慎重に判断してください。 - 公式ドキュメントの更新に追従する: GitHub Copilot CLI のカスタムエージェント仕様は更新される可能性があります。定期的に公式ドキュメントを確認し、エージェントの評価基準も見直してください。
- ガードレールは完璧ではない: 今回紹介したガードレール設計は多くのリスクを低減しますが、完全な保証ではありません。重要な操作の前には常に人間による確認を挟んでください。
今後の展望
今回の改善サイクルを経て、CAF エージェントチームは技術的・ビジネス的の両面で高い品質を達成しました。次のステップとして:
- Azure Landing Zone の Bicep/Terraform 作成: 改善されたエージェントチームを使って、実際の Landing Zone IaC の生成に挑戦
- エージェントの定期的な品質チェックの自動化: GitHub Actions と組み合わせて、PR ごとにエージェントのフォーマットチェックを実施
- エージェント評価基準のバージョン管理: Copilot エキスパートエージェントの評価基準をバージョン管理し、変更履歴を追跡
- Agent Skills のライブラリ化: CAF 共通の手順スキルを整備し、組織全体で共有できる Skills リポジトリを構築
参考
- カスタム エージェントの作成 - GitHub Docs
- Agent Skills の作成 - GitHub Docs
- Custom Instructions の追加 - GitHub Docs
- カスタム エージェントの設定リファレンス - GitHub Docs
- GitHub Copilot CLI ベストプラクティス - GitHub Docs
- GitHub Copilot CLI コマンドリファレンス - GitHub Docs
- Azure CAF の組織論に基づいたエージェントを作成し隊(前回の記事)
- 組織の連携を管理する - Cloud Adoption Framework | Microsoft Learn